2019-01-01から1年間の記事一覧
島田荘司の映像化は、本邦でも近年になって多数作られているのだが、台湾で制作されたこの『夏、19歳の肖像』がたぶん一番いい出来だろう。原作を基本としながら、現代の話としてスマートフォンを有効活用し、サスペンス性やミステリ性を底上げして、原作の…
宗田理の『ぼくらの七日間戦争』といえば、ジュブナイルの金字塔で自分も小学生高学年から中学生の時にこの作品に触れ、シリーズを結構読んだ覚えがある。『ぼくらの魔女戦記』の一巻の最後あたりがたぶん一番好きだ。 このシリーズとズッコケシリーズやかぎ…
『白鯨伝説』というアニメを知っているだろうか。一九九七年から一九九九年にかけてNHK衛星第二で放送されたSF冒険アニメで、監督は『ガンバの冒険』や『エースをねらえ』OVA版の『ブラックジャック』などを手掛けた出崎統。タイトルの通り、メルヴィルの『…
閑静な郊外。そこには見知った穏やかな人々がいる――そういうことになっている。 しかし、誰もその心の裡を知りはしない。お互いが本心を見せたりはしない中、ふと疑いを抱くとき、そこを覗くことは何を招くのか。 この映画は、80年代のノスタルジックな、し…
恋を成就させたいのに自ら失恋に向かっていく人も……世の中にはいると思うんです。 今年の本格ミステリで一番好きかもしれない。そんな作品に出会えました。まあ、なんというか波長が合う、完全に好みに合致した感じなので、広く勧められるかというと、ちょっ…
まぼろしの市街戦≪4Kデジタル修復版≫ [Blu-ray] 出版社/メーカー: キングレコード 発売日: 2019/08/07 メディア: Blu-ray この商品を含むブログを見る 名前は聞いていたけど、観たことがなかった映画。今回、デジタル修復版が出て、気軽にに観れるようになっ…
囚われる――人は何かに自分の意志を制限される。それは言葉だったり、過去の過ちや願いや希望だったりする。何かに囚われていることは、自由ではないというふうに見られがちだ。だが、何かに制限されることが、その人を形作っている、その生き方を縁取ってい…
あらすじ 氷期を迎えつつある惑星。少しでも温暖な赤道面を巡り、世界は北半球と南半球に分かれて争っている。「深い湖」のカロは、孤児院から南半球側の密偵に志願した少年だ。彼は北半球側が建設中の56号移動城砦――その地下工廠に潜り込み、そこで見聞きし…
サム・ライミ作品。『死霊のはらわた』を観れば分かるが、彼のホラーはきちんとしたホラー演出で驚きつつも観てるうちになんだかドツキ漫才というか、スプラスティックコメディめいた展開になっていき、ついには恐怖よりも笑いが先に来るようになるのだ。 こ…
あらすじって、正直書くのが一番メンドイ部分なのだが、たぶん一番読まれない部分だろう。しかし、何故か書かないと先に進めない気がして、わりとあらすじを書こうと頑張って、そして書きかけのモノがたまっていくのだ……。まあでも、そもそもあらすじを書く…
マカロニ・ウエスタン、結構好きなんですよ。まあ、どのジャンルに対しても言えるんですが、マニア的な取り組みで臨んでいるわけではないので、半可通ではあるんですが、大学生のころに結構ハマって、観てたことがありました。 最初に観たのは、あの三大レオ…
探偵小説、そんな言葉聞いて何を思い浮かべるでしょうか。怪奇色にあふれた血みどろの惨劇、異様な姿の怪人、大胆不敵なトリック、そしてそれらに敢然と立ち向かう名探偵。なんというか、江戸川乱歩的な風景を思い浮かべる人ならばぜひ読むべき漫画がありま…
Once upon a time in the west――むかしむかし、西部で。 『ウエスタン』という邦題で親しまれてきたセルジオ・レオーネの一大叙事詩であります。そして今現在、そのオリジナル版が日本初公開で劇場にかかっているのです。一応、2時間45分版のそのオリジナル…
とりあえず、迷っていたら観に行ってほしい。こんなにも笑い声が悲しい映画はそうない。 どこまでも孤独な人間が、ささやかだか自己を規定していたものを少しづつ削られてゆくさまは、別にこの映画に限ったことではなく、“いまここ”にある現実でもある。どこ…
『HELLO WORLD』観てきましたよ。イーガンでディックでマトリックスな青春ラブストーリーと言えばいいのか。結果としてはなかなか面白かったです。 とはいえ、やはりイーガンというか、この手の量子力学ガジェットSFは頭がこんがらがる。時間とか空間とか、…
『ジョーカー』の予習というかなんというか、ホアキン・フェニックスの映画を観とくか、みたいな感じになり、いまさらというチョイスですが未見だったこれを観てみました。自分にとってホアキン・フェニックスは、『グラディエーター』のシスコン皇帝なんで…
ヒーロー映画。ここでは邦画以外のアメリカンコミックを中心としたヒーロー映画、いわゆるスーパーヒーロー物、そのなかで自分が好きな映画を挙げてみたい。 まあ、実のところここ最近はマーベルを中心としたスーパーヒーロー映画ってやつには食傷気味という…
ちょっと前に見た映画の話。というか、だいぶ前の話になるが、一昨年はクリスマスに『ゴケミドロ』観たので、今回は『サイレントヒル』を観ようと思ってたんですよ。しかし、家人が劇場で観てすごく良かったからこれを観ろ、泣ける、みたいな感じで勧めてき…
さて、日に日に安っぽい地金をさらして「小さくバカになってゆく©乙事主」島でみなさん元気に生きてますでしょうか。“生きろ”というのも正直勘弁してくださいな感じですが、クソがあふれ切って、いつか窒息するまでは何とか齧ったフィクションの記録とやらを…
そういえば、また新しいアニメが始まりますね。今期もいつも通りというか、やっぱりあんまり観れてなくて『鬼滅の刃』、『彼方のアストラ』、あと『女子高生の無駄づかい』あたりを観てました。「鬼滅」も「アストラ」もよかったんですけど、個人的には「女…
人を裁くな。あなたがたも裁かれぬように。 マタイ伝 七章 1955年、イギリスの俳優チャールズ・ロートンが一度だけメガホンを取ったという作品。当時はさして評価されなかったらしいのですが、少なからずの後続の映画人たちに影響を与え、また支持されて、少…
『魔眼の匣』、『Medium 霊媒探偵城塚翡翠』、『紅蓮館の殺人』について、プロット上の共通点をネタバレしつつ触れるので、読んでない人は注意。というか見るな。 ……といっても三作読めば分かることで、大したことじゃないのですが。 この三作、どれも女性探…
ここには愛はない。憎しみもない。感情が堆積していく、いかなる結節点もない。 「終わりはない」 アンナ・カヴァンは初めてだった。しかし、その言葉たちは初めてではない、そんな気がした。 この作品集に収められたものたちは、どれもとても短い短編や掌編…
『彼方のアストラ』のPrime Videoの星一レビューが酷いということで、その賛同数含めてこれだからSFファンはという、まあ、いつもながらの吹き上がりが起きてるんだけど、アマゾンレビューをはじめブクログレビューやブログの感想漁れば、ジャンル関係なくそ…
ロスト・ボディ [DVD] 出版社/メーカー: 松竹 発売日: 2015/10/07 メディア: DVD この商品を含むブログを見る 『インビジブル・ゲスト』というスペインのオリオウ・パウロ監督の傑作ミステリがあるのですが、その製作スタッフたちによる前作がこの『ロスト・…
いきなり3からでも構いませんが、とりあえずその1の記事を添えておきます。 kamiyamautou.hatenablog.com マーベラース! が口癖の天然系ウマ娘のマーベラスサンデー。アニメには未登場。オーディオドラマではパドックでのある癖が意識されたネタが……。うま…
こちらは打って変わって、一番走りやすそうと評判のウイニングチケットさん。キャラづけのためなのかちょっと露骨な胸の表現ですが、アニメでは割と控えめ。スぺちゃんと同じくマルゼンスキーを祖父に持つという縁があり、メインを張ったBNWの誓いでは結構ス…
ウマ娘のキャラクターについて、紹介とざっくり個人的な感想をやっていこうかなと。基本的にウマ娘としてのキャラクターについての感想なので、元馬の詳しい情報はそこまでというか、私自身競馬はあまり詳しくないので、そこはご了承ください。 というか、キ…
そういえば、そこそこミステリ読んだので、まとめて感想を書こうかなと。twitterはしばらく休むというか、見るだけにしようかな、と。時間もそうなんですけど、色々バカバカしくなったので(いやまあ、気分の問題です)。まあそれはともかく短く感想をば。 …
創元の新訳プロジェクトで『生まれついての犠牲者』がそろそろ出るということもあって、そういえば読んでなかったなというヒラリー・ウォーの作品を引っ張り出してみました。ウォーといえば、個人的な印象はその淡々とした筆致の捜査のスリリングさもそうな…