蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ミステリ感想まとめ5

そこそこミステリ読んでいたので、まとめて感想を書いて行こうかと。極力ネタバレは避けているつもりですが、どうなのかはわからないよ(え)。 では、とりあえずザーッとした感じで。 早坂吝『四元館の殺人―探偵AIのリアル・ディープラーニングー』 四元館…

SF手法とマンガ・アニメ的ファンタジーによる「ファンタジー」:陸秋槎『盟約の少女騎士』

Impression 中国人で日本在住の作家、陸秋槎。これまで日本で翻訳された著作はデビュー作の『元年春之祭』、『雪が白いとき、かつそのときに限り』『文学少女対数学少女』。ミステリの、特にロジックのあり方へ切り込んだ意欲的な作品を書いてきた著者だが、…

『メルカトル悪人狩り』感想

メルカトル悪人狩り (講談社ノベルス) 作者:麻耶雄嵩 講談社 Amazon 「愛護精神」 いささかぎょっとする始まりで不穏な空気を漂わせつつも、他愛のない形にすかしつつ、美袋に絡みつく大家からのどうでもよさそうな依頼。それを一応、メルに相談すると案の定…

マイケルさん

ハロウィンの夜に観に行きました。『ハロウィン Kills』、自分を含めて五人くらい観てたかな。 ジョンカー・ペンターによる傑作から早40年余り。シリーズも今作で12作にのぼり、かなり息の長いシリーズとなっているわけですが、2018年にデヴィッド・ゴードン…

シリーズの終り方:『007 no time to die』

ダニエル・クレイグによる007の最終作。シリーズの終わりは、第一作のカジノロワイヤルから続いた物語、そしてヒーローとしてのジェームズ・ボンドに決着を見せた作品となっていました。なかなか良かったですね。 ※ネタバレ前提で語っていきますので、そのつ…

先日(といっても結構前だが)、麻耶雄高の『夏と冬の奏鳴曲』が装いも新たに完全改訂版として復刊された。この作品、本格としては異色または異様な作品ひしめく麻耶作品のなかでも、ひときわ異彩を放つ作品であり、一部本格ファンの中には、魅せられたよう…