蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

笹沢左保

笹沢左保『真夜中の詩人』

トクマの特選による笹沢佐保の「栖川有栖選 必読!Seletion」も第四弾。今回は誘拐ミステリの異色作。 誘拐ミステリと言えば誘拐犯との交渉、身代金の受け渡しをめぐる攻防、そして誘拐された者の安否――といったものが中心に展開されるのが一般的な誘拐ミス…

笹沢左保『突然の明日』感想

「いちばん恐ろしいのは、明日という日だな」 トクマの特選!による笹沢左保の名作発掘レーベル、有栖川有栖選 必読!Selectionの第三弾。平凡ともいえる家族の団欒にのぼった奇妙な人間消失の話。そして、そこから急直下、訪れる日常の崩壊。同じ明日が来る…

笹沢左保『空白の起点』感想

Impression 有栖川有栖選 必読! Selection2となる本作は著者の第五作(Introdactionには長編第五作というふうに書かれていたが、改めて調べると不明瞭なため削除)に当たる。 この作品も、Selection1の『招かれざる客』同様、ほの暗い風景がつきまとい、登…

笹沢左保『流れ舟は帰らず』感想

木枯し紋次郎――三度笠に長い楊枝をくわえ、口癖は「あっしには関わりのないことでござんす」――というドラマシリーズ、それが読む前の大まかなイメージというか、あいまいな情報でしかなく、私はこのシリーズが「必殺」や「子連れ狼」みたいなハードボイルド…

笹沢左保『招かれざる客』感想

有栖川有栖選 必読! Selection1 招かれざる客 (徳間文庫) 作者:笹沢左保 徳間書店 Amazon Impression かつて「新本格」、という言葉があった。というと、綾辻行人を嚆矢とするムーブメントが真っ先に思い浮かぶかもしれないが、それよりも前にその言葉を冠さ…