蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

物語が悲しみで結晶するとき:ジェローム・ルブリ『魔王の島』

あらすじ 地方で新聞記者をしているサンドリーヌは、これまで一度も会ったことがない祖母の死の報を受け、同時に弁護士から祖母の住んでいた島に来てほしいと頼まれる。気が進まないサンドリーヌだが、上司に無理やり一週間の休暇を与えられ、その島に赴くこ…

身辺雑記

ツイッターに書き込んでないし、書き込む気もなんかあんまり起きないので、ブログに適当な近況を書くことにする。 ちょい前になるが、初めて郵便局のATMで硬貨を預ける経験をした。小学生くらいから使っているプラスチックのケロッピーの貯金箱が満杯になり…

ディック・フランシス『本命』

熱した馬体のにおいと河からたちのぼる冷たい霧が入り混じって私の鼻をついた。 ディック・フランシスの第一作。著者は元障害競馬の騎手で、その経験を生かした詳しい描写と迫真のレースシーンが作品の核となっている。あと、ディック・フランシスと言えば、…

エラリー・クイーン『フランス白粉の謎』/中村有希 訳

というわけで、創元推理文庫の国名シリーズ新訳第二弾の感想。 久々の再読でしたが、再読しても、というか再読の回数が増えるごとに楽しく読めています。この作品、初めて読んだのはたぶん『Xの悲劇』『エジプト十字架の謎』の次くらいだったと思うんですが…

今日は『女王国の城』の下巻を読み返していた。やはり江神シリーズというか、クイーン流のロジックは好い。ことさら一から十まで伏線だとか、やたら細かく分けた公理を一つ一つ検討していくとかそういう感じじゃなくて、要点を押さえたシンプルさ。そしてそ…