蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

アガサ・クリスティー

「魔術」なトリック:アガサ・クリスティー『魔術の殺人』

ミス・マープルのシリーズ第五作目。本書はクリスティの中だと結構トリックが印象的な作品かもしれない。カー寄りというか、カーが喜びそうな雰囲気を持つ作品。 あらすじ マープルは学生時代の知り合いから妹の様子を見てきてくれないかと依頼を受ける。彼…

天使と悪魔:アガサ・クリスティー『カーテン』

なんかイマイチ更新できないので、旧ブログに書いてたやつの転載でお茶を濁す(じゃっかん改稿してある)。『カーテン』は今のところクリスティのベストというか、自分の中の本格ミステリベストにも入れたい作品。あと、自分のこの感想文章もけっこう気に入…

少女は殺人を見たか:アガサ・クリスティー『ハロウィーンパーティ』

Impression ケネス・ブラナー版の映画第三作が『名探偵ポワロ:ベネチアの亡霊』というタイトルになっていて、聞いたことないけど、クリスティ財団の公認パロディというか、公式同人の映画化なのかな、と思っていたら本家の『ハロウィーンパーティ』の映画化…

基本のキだけでここまでできる:アガサ・クリスティー『ねじれた家』

1949年作 アガサ・クリスティーのノンシリーズの一作にして、本人が自己ベストに挙げていることでも知られる本作。最近新しい映画も出たなそういえば。 クリスティーは、ノンシリーズ物にも良作がゴロゴロしているので侮れない。この作品は、クリスティの最…

実はそうじゃなかった:アガサ・クリスティー『ABC殺人事件』

クリスティーによるミステリ史におけるマイルストーン、そのまた一つ。1936年出版。 もしかしたらエラリー・クイーンによる「X」「Y」「Z」*1に触発されたのかもしれない作品だが、知名度は断然こちらが上で、ミステリという歴史の中で「ABC殺人」「ミッシン…