蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

千街晶之編 感染ミステリー傑作選『伝染る恐怖』

千街晶之による感染をテーマに、収録作を年代順に並べたミステリアンソロジー。この状況だからこそ読まねばと思いつつ、結構積んでいた。 この本が出版されてから3か月余り。ワクチンの接種が始まっているものの、状況が好転する兆しはあまり見られない。そ…

この文章は、結構前に書いて、どうしようかな、と悩んで結局飲み込んだ文章だったのだけれど、それからずっとどこかで引っかかったまんまな気分で迷っていた。それで、やっぱり外に吐き出したい思いもあって、今さらな感じで表に出すことにしたのだった。 こ…

ミステリ感想まとめ4

だいぶ前に読んだ本たち……やはり感想は早めに書いておかないと色々忘れてしまう……。なんとか思い出しながら書きました。 玩具堂『探偵君と鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる』 玩具堂久々の小説が刊行されました。めでたい。白眉は…

上間陽子『海をあげる』

半分つぶされた虫のように、地面の上をのたうちまわるような打撃をうけた人々には、自身の身に起こったことを表現する言葉がない ――シモーヌ・ヴェイユ 子供のとある時期、私は海とともにあった。住んでいた小さな町の学校のすぐそこには、生活排水が垂れ流…