蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ディック・フランシス『興奮』

競走馬をモチーフにした某携帯アプリゲームをチマチマ頑張っている昨今、なんとなく敬遠していた大人気シリーズに手を出してみようという気分になった。 ディック・フランシスの競馬ミステリシリーズといえば、かつてその二文字タイトルが本屋の棚にずらっと…

愛と正義をもって読者をつらぬく物語:東崎惟子『竜殺しのブリュンヒルド』

物語の結末を暗示するような感想なので、なんの前知識を入れたくない人は読まない方がいい。 なんかライトノベル読みたいなあ、みたいな軽い気持ちで手を出し、結構だらだら読んでいたのだが、中盤すぎてから加速的に引き込まれて最後は、まるで槍のような一…

G.K.チェスタトン『ブラウン神父の童心』

いくら自分の聖書を読んだところで、あらゆる他人の聖書を読んでみないかぎり、なんの役にも立たぬ―― 「折れた剣」より ブラウン神父って、なんか読みにくいなあーというのも少しあり、旧訳で第三集の不信ぐらいまでしか読んでなくて、せっかく新訳出てるし…

泡坂妻夫『煙の殺意』

泡坂妻夫の短編集を一つ選べと言われれば、基本選びきれないのではあるが、泡坂妻夫を知らない人に一冊勧めたいとしたら、そのミステリの魅力が凝縮したこれをまずはお勧めしたい。どれも高品質な短編で泡坂妻夫の短編と言えば、と挙がる短編も多い。という…

ツカサ『中学生の従妹と、海の見える喫茶店で』

タイトルがなんというか、なんというかなタイトルだが、とてもよかったので。 てか、そもそもラノベをあんまり読まなくなって、そのなかでも普段自分が手を出さないタイプの(というか、普通小説でも手を出さない)物語だが、読んでみるととてもよくできたシ…