蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

2018-01-01から1年間の記事一覧

根無し草の怪物 映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』

黄色いМの文字――それだけで分かる店がある。 マクドナルド。 世界で初めてレストランを効率化し、30秒でハンバーガーを出すハンバーガーショップの代名詞。そしてフランチャイズ化することにより、アメリカはおろか、世界のあまねく地域でその黄金色のダブル…

少女☆歌劇レビュースタァライト、なるほど、これは何というか「語りがい」のありそうなアニメといいましょうか。そういえばこういうアニメあんま見なくなったなあ、という感じで観てました。ウテナは好きなので一~二話を結構楽しく観ました。少女が歌劇部で…

www.youtube.com この動画、いま結構出回ってて、中身の議論は発信者がSF寄りの人なのか、SFの問題として論じつつ、SFを創作する際の注意として「Experience is Sexy」と結論付けるわけなんだけど、どうもこの中身についてもうちょい精査するというか、SFや…

ジャック・リッチー『10ドルだって大金だ』を読み終える。時間がめっちゃかけちゃったので正直前半の記憶はほぼない……。そんなわけで、あまり良い読み方もしなかったし、また再読する必要があるかもしれないのだが、まあ、今のところ自分には合った感じはし…

またぞろ、甲子園の“物語”に一直線に熱中して、自己中心的に球児を消費し始めてるの、私が嫌いなニッポンジンって感じで、大変薄気味悪いです。オリンピックもまたこの調子でみんなでつつき合える“物語”を見つけたら一直線なんだろう。 あと、twitterの現実…

『エラリー・クイーンの冒険』を読む。これ、なにげにすごいというか、初刊行時の序文に、これまで省かれていた「いかれたお茶会の冒険」(キ印ぞろいのお茶の会の冒険)を加え、まさに60年ぶりの新訳決定版ともいえる完全版は、もはや本国でもそう気軽には…

これで終わりなのか、カーペンター? :『ザ・ウォード監禁病棟』

ジョン・カーペンターの(今のところの)最新作。 記憶を失い、農家に火をつけたところで逮捕された少女、クリステンが送られたのは精神病院の監禁病棟。そこには彼女と同じくらいの少女たちが入れられていて、退院するのを待っている。そんな病棟の日々の中…

僕は何らかの感想の文章を書くときに、なるべく「エモい」とか「尊い」「萌え」といった言葉を使わない様に意識してきたし、多分これからもそう意識していくと思う。別に使うことに目くじら立ててるわけじゃない。コミュニケーションの一環として、そういっ…

『ザ・ウォード 監禁病棟』を借りるつもりが『ザ・ウォード 感染病棟』を借りるというチョンボをかまし、また再びTSUTAYAを覗いてきたが、二本とも貸し出し中、あう。しかし、どこも『ヴァンパイア 最後の聖戦』がないんだよなあ。カーペンターコンプリート…

八木ナガハル『無限大の日々』

これはいいSF漫画。 平行進化、群知能、ダイソン球、軌道エレベーター、確率、といったSFゴコロをくすぐるテーマで語られるSF短編集。どれもが魅力的なアイデアに満ちていて、それを語りつくす、というよりはさらりと皿にのせて読者に供して、それぞれの咀嚼…

読書を追いかけて:『バーナード嬢曰く』

バーナード嬢曰く。 (4) (REXコミックス) 作者: 施川ユウキ 出版社/メーカー: 一迅社 発売日: 2018/07/27 メディア: コミック この商品を含むブログ (1件) を見る というわけで、早くもというか、ようやくというか、この読書にまつわる滑稽で愛すべき漫画も…

映画館行っちゃえば、目にしたくなくても目にしちゃったりするわけで、例の特報ってやつを見ちゃったりしたわけなんですよ。 ……だれかカントクにたつき監督のインタビュー見せた方がいいんじゃないの? カメラぐるぐるぶん回すのいいかげんダサいですよって…

T・Sストリブリングのポジオリ教授シリーズって、名探偵や論理についてのものすごい先駆的な作品だと思うし、自分の中でクイーンと並んで重要な位置を占めていて、まとまった文章を書いてみたいなあ、と思ってるんで、作品解説とかを含めてなんとか形にした…

家族であろうとすることが、できない場所で:映画『万引き家族』

観てきましたよ、『万引き家族』。是枝監督の作品は、これまでは『それでも僕はやってない』ぐらいしか観てなくて、今回でやっと二作目。そして今作も「それでも~」と同じように、すっきりとした終わりではなく、どこか遣り切れない。映画の終りが終わりで…

エロスとデスは兄弟 映画『イット・フォローズ』感想

デヴィッド・ロバート・ミッチェルというほとんど無名の映画監督と、キャスト、そして二百万ドルの低予算で作られたこの映画は、大した宣伝もなかったにもかかわらず興行収益二千万ドルをあげ、2014年のホラ―シーンの話題をさらった。 この映画は殺人鬼や悪…

みんな学校嫌いとか言う割には見事に“学校”的な世界観で生きてると思うんだよ。 少なくとも日本人にとって世界は巨大な精神病院じゃなく学校で、鉄格子の内外なんかじゃなくて校門の内外でしかないんじゃないの……という、まあ、そんな感じ。 久しぶりに中井…

幻想にしてSF プリーモ・レーヴィ『天使の蝶』

天使の蝶 (光文社古典新訳文庫) 作者: プリーモレーヴィ,Primo Levi,関口英子 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2008/09/09 メディア: 文庫 購入: 11人 クリック: 74回 この商品を含むブログ (37件) を見る プリーモ・レーヴィの『天使の蝶』はどこか独特の…

『地獄の黙示録』

結構前なんですけど、午前十時の映画祭で観てきましたよ。そしてこれが初めの『地獄の黙示録』だという。 なんかすごい……んだけど、同時に妙にチグハグ感というか、前半のノリノリなドンパチから次第に鬱っぽい閉塞感を経て、何だか妙に煮え切らない形で幕を…

走るだけでも十分面白いアニメ、その名は『ウマ娘 プリティーダービー』

『宇宙よりも遠い場所』『ゆるキャン△』という傑作も終わり、今現在、アニメは何を観てるかというと『ウマ娘 プリティーダービー』『メガロボクス』『ルパン三世Prt5』を観てます(『BEATLESS』も引き続き観てます)。 中でも特に個人的に来てるのが『ウマ娘…

『悪魔のいけにえ2』

同じ監督が同じ題材で続編を撮る。まあ、割とよくあるシチュだ。その場合、第一作の再演となるわけだが、それをどのように再演するのか。それが映画の形を決めるのかもしれない。 基本的に人気が出た作品の二作目は予算が増えるわけだし派手になる傾向がある…

決断せよ:『ペンタゴン・ペーパーズ』

いろいろタイムリーといいますか、どこもかしこも腐り切った世界で、映画の神様が掲げた力強いプロテストは鮮烈で、まだあきらめるには早すぎる、そんなふうに勇気づけてくれる映画でした。 まあ、政治的な意味合いは言うに及ばず、普通に主婦として生涯を送…

『バーフバリ 王の凱旋』を観た。確かに凄い。なんというか、むやみなエネルギーがある。マッドマックスとはまた違う、制御しきれない器からあふれ出すようなパワーだ。 この映画はマトリックスから続く、アニメ、ゲーム、漫画文法の映画化という流れの先に…

意外と出来がいいぞ:映画『スクリーマーズ』

スクリーマーズ [DVD] 発売日: 2001/06/21 メディア: DVD フィリップ・K・ディックの短編「変種第二号」を原作とした1995年に公開された映画。監督はスキャナーズ2など(観たことない)クリスチャン・デュゲイ。主演はロボコップでおなじみのピーター・ウェ…

煙草と霧と放射能:島田荘司『ゴーグル男の怪』

ゴーグル男の怪 (新潮文庫) 作者: 島田荘司 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/02/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る とりあえず結論から言うと『ゴーグル男の怪』は幻想小説の傑作である。著者だから書き得た異形の幻想ミステリとい…

やみをみるめ

先日、復刊していた『八本脚の蝶』を手に入れることができ、少しづつ読んでいる。これは本で読みたかった。本になって、その遺された言葉たちをカタチとして手に触れる、その手触りを愛おしみながらページをめくる。 彼女は自分とはあまりにも違う人だ。その…

メイドインアビスを二巻まで読む。これ、もしかしてヤバイやつなんじゃ……。ものすごい細かい世界のディテールを作者が楽しみながら作ってるのがビンビンに伝わってきて、うわあ……という感じでその世界を楽しく覗き込んでいたわけですが、作者が隠し持ってい…

「ホワイダニット」嫌い

ちょっとミステリについて書いてみようかなーみたいな話。 ミステリ、というか本格、本格探偵小説についてのひとりごと。 突然ですが僕、フーダニット、ハウダニット、ホワイダニットとかいう言葉あんまり好きじゃないんですよ。僕も今まで使うことはあった…

鬼が夢見る帝国:孤島の鬼

『孤島の鬼』を久々に再読したんですが、やっぱ面白いですね。次々と移り変わっていくストーリーは、後ろを振り返らない、その場その場の展開の連続という感じなんですが、それがあれよあれよと、とんでもないところへ主人公が流されていく感じとうまくリン…

乱歩と僕

別の場所で乱歩について書いた文章があったので、そっちのやつもこっちに貼っちゃおうかな、という感じで掲載してみました。東京の乱歩邸に初めて行って、その時のテンションで書いたやつなので、若干、ヘンなとこもありますがそこは片目をつぶってもらって……

ランポ イズ メタ

『奇想天外・英文学講義』を少しづつ読んでいる。やはり、高山宏の本は面白いなあ。去年読んだ『殺す・集める・読む』は、ほんと出色の面白さで、その年読んだ本の中で、ダントツだったといっても過言ではない。それほど読むのが愉しい本でした。 そういえば…