蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

映画『ゴジラxコング 新たなる帝国』

 一応、こいつも「キラーなまけ」のついでに観てきたのだった。正直、ハリウッドの路線は、特に好きでもない本邦の平成とか、東宝チャンピオンまつり路線を踏襲していて、今回もそんな感じらしいので大して期待せずに行き、想定通りな感じで、前もってそういうつもりで観に来ていたので、まあまあ、そういうものとして楽しむことができました。日本の特撮が持っていた胡散臭い香具師めいた要素をめちゃくちゃ豪華にした光景が広がる115分。長さ的にもちょうどいいし、怪獣バトルとか、日本特撮の懐かしい胡散臭さとかが好きなら普通に楽しめると思いますね。監督は『ゴジラVSコング』のアダム・ウインガードが続投です。

 本作について、人間ドラマがなくて怪獣祭り、とかいう人もいますが、一応、母と娘のドラマが背骨として入っているので、ゼロじゃないですよ。まあそれ以上にコングがドラマ部分を担ってはいるのですが。そうです、今回はコングがドラマを頑張ります。怪獣でドラマ? という気もしますが、そこはサイレント映画のノリで全然こなしていきます。怪獣でサイレント映画(唸り声とか吠えたりはするんだが)をするという盲点を突いてくる演出はなかなか面白いですし、コングとその連れによる地底の旅は、コテコテの様式美で分かりやすい。とはいえ、正直、それもだるい「ドラマ」であることは変わりない気もして、個人的には世界各地で現れた怪獣をシバき倒すゴジラ先輩の活躍をもっと見たかったかもしれません。てか、地底世界とかどうでもいいんですよ。せっかく予算あるんだから、もっと観光感をウリにして、世界の名所やランドマークを壊しまくるやつが観たかった。それこそ、邦画のゴジラが日本のランドマークを壊してきたように、今回のピラミッド大破壊だけじゃなくて、せっかくだし徹底的にやればよかったのに。自分としてはそれならハリウッドのを観る意味がよりあると思うんですけどね。

 そんなわけで、ヘンに期待しなければ、お金かけた分のスペクタクルはちゃんとあるし、それなりに楽しめる超大作らしい超大作なので、怪獣バトルを素直に楽しめばいいと思います。あー、でもこの映画、悪役がビミョーなんだよなあ。結局は猿だしな……なんか向こうの人、猿好きだよね……。まあ、たぶんSNSでは普通に出回っているだろうけど、ちょっと不遇ぎみな準レギュラー(?)だったあの怪獣に似たやつとかは、ファンにはうれしい感じだろうけど。でも最後、凱旋してきた王の馬みたいな扱いで、やっぱ向こうのヒト的には猿が上なのかなー、とか余計なことを考えてしまった。

 そういえば、どうせエンドロール後になんかあるんだろと思って、見てやるかという完全上から目線でエンドロールを無為に眺めてましたが、何もありませんでした。完全にヤラレました。