蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

やみをみるめ

 先日、復刊していた『八本脚の蝶』を手に入れることができ、少しづつ読んでいる。これは本で読みたかった。本になって、その遺された言葉たちをカタチとして手に触れる、その手触りを愛おしみながらページをめくる。

 彼女は自分とはあまりにも違う人だ。その言葉に触れるたびこんな人がいたのか、という思いが離れない。その繊細で研磨された精神はあまりにも遠く、私はただただ、その遠くにいる存在を畏怖の念と共に見つめることしかできない。

 どうやったらこんなにも本が読めるのだろう、どうやってこんな本を見つけてくるのだろう、そしてどこからその言葉は出てくるのだろう。そんなことばかり考える。

 次元の違うその絶対的な距離を測るために、私はこの本を開いている。

こわがりでよわいのはかまわない(仕方がない)が、楽になろうと力任せに粗雑に何かを定義してはいけない。

 

 ※とてもどうでもいいことだが、二階堂氏は怪我をした女の子が好きということだが、私はご飯をおいしそうに食べる女の子&男の子が好きだ。闇の眷属にはなれそうにもない。