蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

映画『ゾンビーバー』

 なんか毎年クリスマスにはホラー映画を観るようになっていて、今年はこいつにした。

ゾンビーバー (字幕版)

 『ゾンビーバー』。名前の通り、ビーバーがゾンビになって襲ってくる一発ネタみたいなゾンビ映画だ。ビーバーがゾンビ、という以外は特に特筆するようなところはない、田舎のロッジでセックスしたりして盛り上がっている若者たちに怪異が襲い掛かってきてパニックになるという、お約束ハイ一丁、みたいな映画ではある。これまで腐るほど作られてきたお化け屋敷の一つであり、特に目新しいところがあるわけではないが、それなりに堅実に作られていて、ちゃんと観てる間は楽しめるように作られている。一応、ジャンル的にはホラー・コメディに分類されているのだが、ゲラゲラ笑えるところはそこまでないかも。お色気はそこそこかな。この手のやつは露悪的なグロをゲラゲラ笑うタイプのやつが多いが、意外とその辺が控えめなので、そこはもう少し頑張ってほしかった。

 あと、肝心のゾンビ・ビーバー自体はちょっといまいち感がなくはない。それよりもビーバーに嚙まれて、ゾンビ・ビーバー化した人間のほうがやはり迫力がある(特に目新しさはないと書いたが、ここのゾンビ・ビーバー人間は異形感があってとてもよかった)。後半の登場人物がどんどんビーバーにやられてゾンビ化していくところがやはり面白かったので、前半からどんどんゾンビ・ビーバー人間と戦う形にしたほうがよかったような気がした。最後のオチはなかなかヒドイ感じで良かった。

 まあ、確かに安手のお化け屋敷な映画で、観てそれっきりな感は無きにしも非ずだ。とはいえ、なんかこういう風にバカっぽい映画を無駄に消費しているそれ自体は、個人的にはそんなに嫌いじゃない。だらだらバカっぽくて意味のない時間という最高な時間をクリスマスに堪能できる、それもまた最高に幸せなことなんだろう。