蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧

三番館シリーズ 第一集 鮎川哲也『竜王氏の不吉な旅』

Introduction 鮎川哲也の名探偵と言えば鬼貫警部と星影龍三の二枚看板が有名だが、もう一人、短編でのみ活躍した名探偵がいる。それが、「三番館のバーテン」である。通称三番館シリーズと言われる作品群は、私立探偵である“わたし”を語り手に進んでいく。事…

横溝正史『死仮面』[オリジナル版]

ついに読みました、『死仮面』。 この作品は金田一シリーズの第四作にあたり、戦後の再始動した横溝作品としては、かなり最初期にあたる作品となっています。しかし、一般的な知名度で言うと、それ以前の『本陣殺人事件』『獄門島』『夜歩く』『八つ墓村』な…

名探偵の使い方:アガサ・クリスティー『邪悪の家』

あらすじ 保養地のホテルでポワロはヘイスティングズとともに、一人の女性と知り合う。近くに建つエンド・ハウスの持ち主である彼女――ニック・バックリーはポワロに最近三回も命拾いをしたと話す。そしてその会話中に、彼女の帽子を銃弾が貫通するというさら…

なんともハッピーなカーニバル:映画『黒猫・白猫』

あらすじ 舞台はユーゴスラヴィアの田舎町。やたらうまい話に乗っかろうとしては失敗する男マトゥコは、マフィアのダダンに貨物列車襲撃の計画を持ち掛ける。が、それもあえなく失敗。さらなる借金を背負ったマトゥコは、借金帳消しのためダダンから息子のザ…