蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

ミステリ

彼方より来たもの

もう十五日で、十二月十日、もとい今年の黒鳥忌をだいぶ過ぎてしまったわけだが、まあいいや、僕はそんなことは気にしないぜ。とりあえず、自分にとって中井英夫、というか『虚無への供物』がどんな存在なのか、ということを書きたくなったので書こうかなと…

ちょっと『ジャナ研の憂鬱な事件簿』などの青春ミステリを読んでダイイングメッセージについて、少し思ったことなど。 ダイイングメッセージというと、かつて密室などと並んで探偵小説といえば、というガジェットであったにもかかわらず、今現在「本格」方面…

「私」を拡散するために 江戸川乱歩『盲獣』

※ 一応、ネタバレというやつなので注意してください。とはいえ、そんなことでどうこうなる作品だとは思いませんが。 盲獣 (創元推理文庫) 作者: 江戸川乱歩 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2012/10/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る …

島田荘司『Classical Fantasy Within 第八話 ハロゥウイン・ダンサー』

Classical Fantasy Within 第八話 ハロゥウイン・ダンサー (講談社BOX) 作者: 島田荘司,士郎正宗 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2010/05/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 8回 この商品を含むブログ (3件) を見る 島田荘司による(現時点で…

偶然の極北 島田荘司『屋上の道化たち』

※この文では『屋上の道化たち』のネタバレを含むので注意 屋上の道化たち 作者: 島田荘司 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/04/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (7件) を見る 『鳥居の密室』、いい作品だとは思うんだけど、これをもって島田…

『エラリー・クイーンの冒険』を読む。これ、なにげにすごいというか、初刊行時の序文に、これまで省かれていた「いかれたお茶会の冒険」(キ印ぞろいのお茶の会の冒険)を加え、まさに60年ぶりの新訳決定版ともいえる完全版は、もはや本国でもそう気軽には…

煙草と霧と放射能:島田荘司『ゴーグル男の怪』

ゴーグル男の怪 (新潮文庫) 作者: 島田荘司 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/02/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る とりあえず結論から言うと『ゴーグル男の怪』は幻想小説の傑作である。著者だから書き得た異形の幻想ミステリとい…

「ホワイダニット」嫌い

ちょっとミステリについて書いてみようかなーみたいな話。 ミステリ、というか本格、本格探偵小説についてのひとりごと。 突然ですが僕、フーダニット、ハウダニット、ホワイダニットとかいう言葉あんまり好きじゃないんですよ。僕も今まで使うことはあった…

鬼が夢見る帝国:孤島の鬼

『孤島の鬼』を久々に再読したんですが、やっぱ面白いですね。次々と移り変わっていくストーリーは、後ろを振り返らない、その場その場の展開の連続という感じなんですが、それがあれよあれよと、とんでもないところへ主人公が流されていく感じとうまくリン…

乱歩と僕

別の場所で乱歩について書いた文章があったので、そっちのやつもこっちに貼っちゃおうかな、という感じで掲載してみました。東京の乱歩邸に初めて行って、その時のテンションで書いたやつなので、若干、ヘンなとこもありますがそこは片目をつぶってもらって……

ランポ イズ メタ

『奇想天外・英文学講義』を少しづつ読んでいる。やはり、高山宏の本は面白いなあ。去年読んだ『殺す・集める・読む』は、ほんと出色の面白さで、その年読んだ本の中で、ダントツだったといっても過言ではない。それほど読むのが愉しい本でした。 そういえば…