蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

 本屋に行き、ローラン・ビネ『HHhH――プラハ、1942年』と森川智喜『動くはずのない死体』を買う。二冊で三千四百十円となかなかの出費だ。森川智喜は、けっこ久々に買う。『キャットフード』『スノーホワイト』『一つ屋根の下の探偵たち』ぐらいしか読んでないので、未読が多い。実は「一つ屋根」があんまり自分的には……という感じで離れてしまったところがある。

 ローランビネのやつはタイトルと帯で買ってしまった。結局、こんなに賞とってますよ、「読書人」が驚嘆してますよ、という情報で本を買う。そして、家に帰れば読んでない本の山が、机に床に中途半端に積まれている。

 お茶を淹れ、もうご飯を作る気もなく買ってきたささみフライをレンチンし、かじりながらネットを見てだらだらした時間を過ごす。相変わらず、本はなかなか読めない。映画も9本借りてきたやつを一本だけ見て期日ぎりぎりに返した。

 いったい自分は何なのだろう……。パソコンの横に積んである本の一番上にある『生まれてきたことが苦しいあなたに』をペラペラめくる。この本をネタにというか、感想をブログに書こうとそれなりにポストイットで本の天がカラフルになっているのだが、実のところ内容は全然頭に入ってきていないし、書こうとすることもまとまらない。

 酒が飲めないので、最近すぐ寝ることが多い。本を読んだところで何か救われることは特にないが、寝ると少し元気になる。ただ、倦怠感は消えない。

 虚しさとはちょっと違う、常時だるいという意識に支配され、そういえば口の中はさっきのささみフライの油でぎどぎどだ。吐きそう。雨はひどいし、エアコンはといえばまた壊れて、じっとりとした暑さに包まれて気持ちが悪い。これでは寝れない。最悪。

 とりあえずパソコン横の「生まれてきたことが~」以下の積読をだらだら眺める。『人を呼ぶ湖』『他殺岬』『殺す』『オランダ靴の謎』『赤い部屋異聞』『女生徒』『ブラッドランド (上)』『なぜ古典を読むのか』『最暗黒の東京』『けものたちは荒野をめざす』『精神の生態学へ (上)』『地理学者、発見と出会いを求めて世界を行く!』『開かれた世界とその敵 第一巻プラトンの呪縛 (上)』『排除の現象学』。たぶん今年中に全部読めやしない。でも、もちろんまだ本は転がっている。本のタイトルを見てワクワクしたのは、はるか昔――今はどうせ読めんよ、という気分が重くのしかかる。

 書いてるうちに、なんかだんだん目に映る本どもにイライラしてきたので、冷蔵庫からゼロカロリーコーラを出し、少し前に衝動買いしたOTOMO THE COMPLETE WORKSの『童夢』を読むことにした。

 なんというか、こういう衝動的な怒りというか、なんかムカつくぜ! という気分によって自分は生かされているような気がする。