蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

映画『アフリカン・カンフー・ナチス』

アフリカン・カンフー・ナチス(吹替版)

 

 『アフリカン・カンフー・ナチス』。一部で話題になっていたやつだがようやくレンタルして観た。アフリカでカンフーでナチスというボンクラな三題噺みたいなタイトルだが、まあ、そのとおりなボンクラ具合である。

 ドイツから落ち延びたヒトラーゲーリング(なぜか黒人の巨漢になっている)に、ついでについてきたような東条英機が妙な呪術で人々をガーナ・アーリア人へと洗脳してガーナを支配し、更なる世界征服のため、武術大会を開く。彼らによって道場を壊滅させられ、師匠を殺され、おまけに恋人がエヴァ・ブラウン黒人Version(なんだそれ)にされてしまった青年アデーは、復讐を誓い、伝説のカンフーマスターたちの元で過酷な修行に身を投じていく……という、あらすじだけでもかなりバカ!な本作。そしてその突き抜けたバカっぷりが楽しくゲラゲラ笑える一作だ。プロっぽいカットや編集と素人臭いそれらが混在してる画面とか、役者たちも本格的なカンフーの動きを見せつけたと思ったら、妙に素人臭い演技になったりするとことかもおかしい。道場のシーンのカメラを寄りで個々の技を見せていくところは動きも本格っぽいのに、師匠の号令で整列するところはポーズ決めた後に列が乱れてて、後ろ見たりしてそそくさと修正したりと、なんか学校の生徒じみててよかった。

 後半、武道会シーンでの音楽の使い方があまりにも単調すぎてそこから超退屈になってしまうのは残念な感じだが、ヒトラーが最後死ぬところとかは、Z級サメ映画なチャチさがいい感じのクソ映画っぽさな締めで良かった。まあ、その後もなんか微妙にいらないエピローグっぽいエンディングが続くのだがそこはそれ。

 別に無理してみるような映画ではないのだが、こういうしょーもないけど楽しい映画を観て時間を無駄にするというのも最高に贅沢な映画体験と言えなくもないので、暇でしょうがない時とかに観てみるのも一興だろう。