蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

 伊藤計劃のサイト、「スプークテール」を今さら見てきたんだけど、自己紹介をクリックした先にある「モノローグ」や、掲示板に伊藤さんが書いている、エロゲーあるいは「萌え文化」に対する批判が結構激烈で(とはいえ、内容はなかなか面白い)、これを書いた当時(98年から2000年あたり)、伊藤さんは二十代前半だと思うんだけど、その批判の仕方がえらく年配的な感覚がして、ああ、こういう皮肉でなく頭のいい当時の青年たちが、そのまま年を取っているというわけか、そんな感じがしましたね。身体論に搦めて、他者性の欠如した(と規定した)想像に対する異様なほどの嫌悪感はいわゆる「オタク」内部から生まれ出ていた、という一つの証左としてみることができる。

 僕はエロゲ―をほぼやったことないし、Keyだとかマルチだとかそういうものがあったというくらいの認識しかないし、そもそも「オタク」という自称する意味がよく分からないというか、何でそんな言葉いちいち使うのか。伊藤さんは「オタク」という自らの領域と認識したその場所が堕落しているという風に感じて、失望していたのだろう。

 伊藤さんはアニメやエロゲ―に対する屈折した思いを結構吐露しているんだけど、それだけ期待してたのかもしれないし、特になんにも思わない僕の方が冷淡なのかもしれない。まあとにかく、当時の「萌え」やエロゲ―に対する伊藤さんのスタンスが垣間見えてなかなか面白かったです。今さらですが。