蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

なんかイーロンがツイッターに制限をかけ始めてて、本格的にツイッターが使えない状況になってしまっている。一時的というがどうなることやら。これぞネット世界のバベルの塔かはたまたディアスポラか……離散するなら離散するでまあ、いいんじゃないの、ネッ…

飛鳥部勝則『堕天使拷問刑』

以前、好きな青春ミステリを挙げた記事を書いたのだが、そこで取り上げようとしつつ、再読してからと思ってスルーしてしまった作品がこの『堕天使拷問刑』だ。 kamiyamautou.hatenablog.com この作品、持ってなくて、図書館で借りて読んだのもだいぶ昔。何年…

突然だが、私は英語が苦手だ。こいつさえなければ受験戦争をそれなりの形で突破できたかもしれないのにと思うと憎さしかない。こいつが厄介なのは、文系だろうが理系だろうが回避できないというところで、他は選択で回避できる可能性があるのにこいつはどこ…

本屋に行き、ローラン・ビネ『HHhH――プラハ、1942年』と森川智喜『動くはずのない死体』を買う。二冊で三千四百十円となかなかの出費だ。森川智喜は、けっこ久々に買う。『キャットフード』『スノーホワイト』『一つ屋根の下の探偵たち』ぐらいしか読んでな…

ミステリ感想まとめ その9

遠坂八重『ドールハウスの惨劇』 ドールハウスの惨劇 作者:遠坂八重 祥伝社 Amazon 第二十五回ドイルドエッグ賞受賞作。早くもシリーズ第二作が発売予定らしい。 たこ糸研究会という妙な部活動の傍ら、学内便利屋をしている滝蓮司と卯月麗一。ある日蓮司が学…

それは、いつか消えてしまうもののつながり:町田洋『砂の都』

人は生きる墓標だ 同じ人間が常に死に続ける 本作は『夜とコンクリート』『惑星9の休日』で独特の“間”、というかある決定的な“瞬間”をセリフや線を極力削いで描く著者特有の漫画の質感を、さらに推し進めた作品になっている。 『夜とコンクリート』は純粋な…

そばを打ちたいとか、そういえば父親は言い出さない。※内容はタイトルと全然関係ないです。

『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』観た後に、最新作の『竜とそばかすの姫』も観てみた……確かに、嫌われる理由もよく分かる。いや、なんていうか色々奇妙というかヘンな感じ。よくある批判の感情移入ができないとかいうのはどーでもいいんだ…

映画『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』

細田守によるデジモン劇場版の二作目。2000年制作。 細田守が長編劇場映画を監督する以前の40分の短編作品でありながら、この作品を監督のベストに押すファンがいまだに多い一作。また、初のオリジナル長編アニメ『サマーウォーズ』のプロトタイプともいわれ…

スプリガン劇場版(1998)

あらすじというやつ かつて人知を超えた科学を持つ何者かが残した遺跡群。それらを悪しきものから守れというメッセージを真摯に受止めた人々により、民間組織アーカムが結成された。そしてアーカムが擁する特殊エージェント――彼らは遺跡を守る妖精にちなみ「…

創元ライブラリの中井英夫全集[6]『ケンタウロスの嘆き』をペラペラ見ている。「ケンタウロスの嘆き」に収録されている作家・作品論や書評は何度読んでも素晴らしいのだが、「黒鳥の旅もしくは幻想庭園」に収められている、『日本人の貌「非国民の思想」…

しゅわっち

一応、これ公開後しばらくして書いたやつなのだが、こういうネガティブな感想って、好きな人が読めば当然いい気はしないだろうし、嫌われるだけであんまり「得」なことはないんだってのはわかってはいるのだけど、当時見た人間の正直な感想としてとりあえず…

その行き先:本多正一『彗星との日々―中井英夫との四年半―』

死んだら「ひと」の心の中へ行く。 結構読もうか読むまいか迷っていた。 なんていうか、自分の中である種理想化されていた作家の最晩年。一応のところ、その「現実」を話には伝え聞いていた部分はあった。人によっては孤独であり、まあ、「悲惨」と言う人も…

だらだらと『ゆるキャン△』の劇場版を見ていた。 なんというか、テレビ版の壮大、じゃないな、長大な後日談を見ているような感覚だった。映画として面白いとか面白くないとかじゃなくて、彼女たちの人生の延長、その日常を画面越しに眺めているような感覚。…

松本賀久子『ジャミラ祈念日/被爆者ゴジラ』

君が 地球せかいだと認めたのは どこの皇子でもなく 何の天才でもない ひとりの子供 <メフィラス>より 2021年に新型コロナで逝去した詩人による、初代ウルトラマンの怪獣・宇宙人に焦点を当てたユニークな詩集。 戦後まもなく生み出され、高度成長期ととも…

ハリボテな幽霊屋敷に潜むもの:ジョン・ディクスン・カー『幽霊屋敷』

あらすじ 執事がシャンデリアに飛びつき、落下したそれに押しつぶされるという不可解な事件が発生した屋敷。その過去のいわくに興味を持ち買い取った新しい持ち主により、幽霊パーティーが開かれるが、今度はそこで不可解な殺人事件が起きる。それを目撃した…

こういう怪獣映画が観たかったんだ:映画『トロール』

Impression ようやく観たかった怪獣映画が観れた。感想を一言でいえばそんな感じだ。平成ガメラ以降の渇を十分癒してくれる、見事な怪獣映画だった。まあ、『ゴジラS.P』や『ゴング 髑髏島の巨神』もいい怪獣映画ではあったのだが、もう少しなところが個人的…

なかなかブログ更新できませんね。 まあ、なんかだるいという、いつもの鬱々とした気分が頭に垂れ込めているのと、自分がこうしてなにかしら書くという行為とその内容について、ゴミのくせにけっこうな労力を使うということにイラつきを通り越した虚無感みた…

インディー・ジョーンズ シリーズという、最高の乗りもの乗り継ぎ映画

今年の6月に新作が公開されるし、なんかインディー・ジョーンズのシリーズを観返したくなって、4作観返してみた。 昔から結構好きで、テレビのロードショーで何度も観たし、「クリスタルスカル」は公開されてすぐ観に行った。一応、映画で観るのは「クリス…

日々は過ぎ去ろうとも、それは永遠なんだ:根本 尚『人形紳士 少女探偵・火脚葉月 最後の事件』

note.com とてもよかったんで読んでなかったらぜひ読んでほしい。 著者の根本氏は同人で乱歩的な怪人が跋扈する本格ミステリ作品『怪奇探偵・写楽 炎』シリーズを書き続けているのですが、それとは違った主人公たちを据えたこの作品は、これまでと同じような…

好きな青春ミステリ

だいぶ前、東川篤哉の青春ミステリを取り上げたのだけど、その他の自分の好きな青春ミステリ作品についても書いておこうかと思い、いくつか挙げていこうかと。 ――と、思ったところで、そもそも青春ミステリってなによ、という部分にぶつかる。青春といえば若…

歪で不格好、しかし異様な熱がこもる怪作:『仮面ライダーBlack Sun』

妙な作品だ。PVのデモ描写から、ある程度予感はしていたが、それ以上に直截な形で現在の社会的な状況を次から次に放り込んでくる。風刺、というよりはわりとそのままを放り込んできてる感触の方が強い。ドイツの環境活動家を思わせる高校生の人権活動家のス…

そういえば最近、『ハケンアニメ』『フェイブルズマン』『アオイホノオ』と立て続けに創作ものというか、創作や創作者にテーマにした映像作品を見ていた。まあ、昔から監督インタビューとかメイキングとか観るのが好きで、小説や映画、アニメを作る人々に興…

映画『シン・仮面ライダー』観てきた

タイトルの通り観てきた。めちゃくちゃ詳しくネタバレする気はないが、一応、それとなくメインの筋を示唆するような語りなので、そのつもりで。 庵野監督の作品は自分にとってヘンな作品が多い。個人的にはエヴァの旧劇場版あたりから本質的な部分でなんか合…

ミシェル・エルベール&ウジェーヌ・ヴィル『禁じられた館』/小林 晋 訳

Impression 日本は一応、翻訳ミステリ大国といっていいほどミステリの翻訳がさかんで、特に古典本格ミステリについては、多くの先人たちが渉猟し、多くの傑作・名作を翻訳してきた。しかし、それでもまだ、黄金期の古典にはその先人たちの探求から逃れた「名…

映画『アフリカン・カンフー・ナチス』

『アフリカン・カンフー・ナチス』。一部で話題になっていたやつだがようやくレンタルして観た。アフリカでカンフーでナチスというボンクラな三題噺みたいなタイトルだが、まあ、そのとおりなボンクラ具合である。 ドイツから落ち延びたヒトラーとゲーリング…

倉知 淳『大雑把かつあやふやな怪盗の予告状』

安穏としたデスクワークを目指し、難関の公務員試験を突破したはずの木島壮介が配属されたのは警察庁特殊例外事案専従捜査課という、聞き覚えのない部署だった。そこは、警察の捜査では手に負えない例外的な事件を外部の民間人を招聘して解決にあたる特殊な…

今邑 彩『時鐘館の殺人』

時鐘館の殺人 (中公文庫) 作者:今邑彩 中央公論新社 Amazon ガチガチの本格というわけではないが、ミステリを基調に、ニューロティックスリラー、SFファンタジー、奇妙な味、といった今邑 彩のエッセンスが詰まった短編集と言っていいだろう。それぞれ異なっ…

泡坂妻夫『ダイヤル7をまわす時』

ダイヤル7をまわす時 (創元推理文庫) 作者:泡坂 妻夫 東京創元社 Amazon 著者といえばの逆説的な推理法もあるにはあるが、メインどころでガツンと来るよりは、サブに回っていい味を演出する方向性で、比較的、正攻法な手法で作られたミステリが多い。どれも…

書いた小説について&小説を書いてみて

初めて長編小説を投稿した。ジャンルは一応、本格ミステリ。 kakuyomu.jp 書いたものについて 一回くらいは、本格ミステリを書いてみたいということで、何とか書いた。この作品の原型みたいなものは、高校生の時にノートに書いてたやつにさかのぼる。 当時、…

これは、すずめの戸締りについての書きかけのノートというか、一部シーンの「断絶」の評価のされ方について、以前のほうが物語の中でよりくっきりとやってるんじゃないの? という思いから書き留めていたもの。なかなか全体の記事が書けそうにないので供養み…