蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

わくせいだいせんそう

スターウォーズ 最後のジェダイ』である。なんかスルーしようかと思っていたら、町山さんの大絶賛でどうしよっかなあ~、な気分になったのもつかの間、先に観に行った連中の感想がいずれも低評価でまたも迷う。さらになんだか肯定、否定が革新派、保守派という単純極まりない二元的言語空間が形成されつつあり、それに観る前から萎え萎え。

僕が作品について“既成概念を破る”とか“進歩”とかいう言葉で絶対的な良きものとしての装飾が行われている事態に警戒感が強いのは、かつて新本格――本格ミステリー(もしくは探偵小説)がそういう言葉によって否定されてきた歴史を見てきたからで、それはただの進歩というポジションでふんぞり返りたいだけの、他を低めることで褒めそやしたいものを上げているだけの行為だった場合が多分にあったわけで、進歩や革新といった言葉が過剰に前に出過ぎている今回の新作に食指が動かなくなっているわけですよ。

観てないし、今回のことがそうであるかどうかは言えないことは確かだ。だけど、肯定する側が、革新、進歩を受け入れる側、みたいなポジションを取りたがる姿や、なぜ物語の外側の話をしたがるのか、そこが気になってしまう。否定するものは変革を受け入れない者、というレッテル張りに移行しているようだし、そういう選別が焦点になる作品って、ちゃんと物語の力は、構造の力は宿ってるのかな。疑いは濃くなる。

まあ、そんなことをグダグダいう前に観に行けよって話ではあるのだが……なんか気が進まない。