蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

けものフレンズ、その構成について

 ブログを開設したのにもかかわらず、早くもさぼっているという体たらく……。 

 

 最近、けものフレンズばっかり観てます。一見ゆるくて刺激の薄そうな中に様々な楽しむためのフックが用意されていて、ある意味作品自体がパークというか、どんな遊び方も許容するゲーム的な楽しさがあって、そこが多くの人を引き付ける要因になっているのかもしれません。

 個人的には、ロードムービー的な冒険物として楽しんでいるわけですが、物語の、そして何よりもシリーズ構成の見事さに注目しつつ観ています。

 けものフレンズのまず一話ごとの構成は、サーバルとかばんが出会うゲスト、基本的に二人のキャラクターを軸に進んでいきます。二人のキャラクターは違う性質を持ち、そこにかばんが人類の知恵をもたらすことでキャラクターどうしの性質が融合し、物事を解決していく――これがこの作品の基礎パターンといっていいでしょう。

 この基礎パターンの高度な達成が第三話で、そこに登場するトキとアルパカはそれぞれ歌とカフェという性質が振られてているのですが、同時に願い――仲間を見つける、カフェにお客が来てほしい――があり、そこにかばんが加わることで、問題を解決すると同時にそれぞれの願いが融合する形で解決します。3話が高度なのは、それぞれの願いは違うのに、一つの解決方法によって、トキとアルパカの願いが結びつきながら達せされる、という点です。

 次に、けものフレンズは話の偶数話と奇数話によってテイストが違います。大雑把に言うと偶数話はキャラクターが多く登場し、奇数話は軸になるキャラクター二人に絞られる形をとっています。たくさん動物が出てくる場合と絞られた場合――このテイストの違いは、動物園をぶらぶら歩いてたくさんの動物たちを見て回るのと、立ちどまって檻の中をじっと見る感覚に繋がっています。

 また、奇数話はお話がきっちりまとまり収斂しますが、偶数話は拡散型というか、分かり易く言うと、次への引きがあるのが偶数話となっています。2話は三話へと繋がる形で終わりますし、4話はツチノコの、6話はハシビロコウの言葉が強い引きとなっています。そして最新話である8話ではかばんの次の目的地が設定されます。

 それから各話の置き方にも注目してみると、このけものフレンズという作品自体が、視聴者がジャパリパークというテーマパークを体験する構成をとっているように思われます。フレンズやガイドと一緒に動物を見て回り、中のアトラクションで遊んで(1~6)お昼になったらご飯を食べる(7話)。午後になったらペンギンショーを見て(8話)お風呂に入る(9話:放送予定)。そしてロッジにお泊り(10話:放送予定)という形になっているのです。このようにしてかつてのジャパリパークの一日を追体験していく構成をとっているのなら、最後はやはり、パークを出るということになるのかもしれません。

 とにかく、この作品はこのようにミクロ的にもマクロ的にも構成的な面白さがあり、そこに注意してみていくのもまた面白いのでは、と思いますね。けものフレンズ、というジャパリパークの閉園時間もあとわずか。かばんちゃんがサーバルちゃんがどうなっていくのか、非常に楽しみにして観ていきましょう。