蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

映画

悪魔というか、鋏が怖え:映画『エクソシスト3』

毎年クリスマスにホラー映画観てるのだが、なんかだるいな~と、気がついたら寝てて、あっさり25日過ぎちゃったのだ。まあいいや。 そんな感じで、そういえばこれ観てなかったな、と次の日に観たのが『エクソシスト3』。結構前から観たかったのだが、レンタ…

いつかそれは再生する:映画『ゴジラ-1.0』感想

※ネタバレ前提な感じなので、そのつもりで 文化の日ということで映画に行く。 というわけで70周年記念作という『ゴジラ-1.0』を観に行った。監督は山崎貴。一部の映画ファン(特にマニア方面)からは結構敵視されてたりするし、自分も「三丁目の夕日」はそ…

映画『WXIII 機動警察パトレイバー』

そういえば観てなかったなこれ、ということで観てみた。 本作は、機動警察パトレイバーの劇場公開アニメ第三弾となる、のだが前二作の『機動警察パトレイバー the Movie』『機動警察パトレイバー 2 the Movie』――まあいわゆる「押井版」と比べると知名度とい…

そんな希望:映画『SAND LAND』

本当に泉なんてあると思うか? 『SAND LAND』より 28日に鳥山明の漫画原作の映画『Sand Land』を観に行った。レイトで久しぶりに観客自分一人という事態。ホラーじゃなくてよかった、みたいな。映画館の暗がりで一人っていうのは地味に怖いところはあるが、…

All You Need Is Love……/and the others:映画『インディージョーンズと運命のダイヤル』

タイトルの英語が意味の通るものなのかは、わからない…… introduction 伝説の考古学者にして冒険者、その第五作目にしておそらく最終作。 このインディ・ジョーンズというシリーズは、自分にとって少し特別な思い入れがある。映画を観始めた最初期の頃の記憶…

目の前に、石のような言葉が遺る:宮崎駿『君たちはどう生きるか』

※ネタバレ前提で語ってますが、書いてる本人もだんだん何が何だかわからんくなってます。 なんかすごいヘンな映画を観たような気分だった。二度目を観れば何とかまあまあ流れは整理されるが、やはり奇妙という印象は変わらない。たぶん、宮崎作品の中でいち…

こういう怪獣映画が観たかったんだ:映画『トロール』

Impression ようやく観たかった怪獣映画が観れた。感想を一言でいえばそんな感じだ。平成ガメラ以降の渇を十分癒してくれる、見事な怪獣映画だった。まあ、『ゴジラS.P』や『ゴング 髑髏島の巨神』もいい怪獣映画ではあったのだが、もう少しなところが個人的…

インディー・ジョーンズ シリーズという、最高の乗りもの乗り継ぎ映画

今年の6月に新作が公開されるし、なんかインディー・ジョーンズのシリーズを観返したくなって、4作観返してみた。 昔から結構好きで、テレビのロードショーで何度も観たし、「クリスタルスカル」は公開されてすぐ観に行った。一応、映画で観るのは「クリス…

映画『シン・仮面ライダー』観てきた

タイトルの通り観てきた。めちゃくちゃ詳しくネタバレする気はないが、一応、それとなくメインの筋を示唆するような語りなので、そのつもりで。 庵野監督の作品は自分にとってヘンな作品が多い。個人的にはエヴァの旧劇場版あたりから本質的な部分でなんか合…

映画『アフリカン・カンフー・ナチス』

『アフリカン・カンフー・ナチス』。一部で話題になっていたやつだがようやくレンタルして観た。アフリカでカンフーでナチスというボンクラな三題噺みたいなタイトルだが、まあ、そのとおりなボンクラ具合である。 ドイツから落ち延びたヒトラーとゲーリング…

映画『ゾンビーバー』

なんか毎年クリスマスにはホラー映画を観るようになっていて、今年はこいつにした。 『ゾンビーバー』。名前の通り、ビーバーがゾンビになって襲ってくる一発ネタみたいなゾンビ映画だ。ビーバーがゾンビ、という以外は特に特筆するようなところはない、田舎…

映画『夏へのトンネル、さよならの出口』

だいぶ前になってしまったが、夏の終わりの締めくくり、というわけではないが『夏へのトンネル、さよならの出口』の劇場アニメを観に行った。感想としては、なかなか悪くなかった。同行者は意外性がなくてなんかすごいストレートだと言っていたが、まあ、そ…

都市より生まれし者たち:映画『THE BATTMAN』

ちょっといまさら感あるけど、ようやく書けたので。 ※時間たってるし、観てる人は観てるだろうから――ちょっとネタバレありな感じです。 『THE BATTMAN』――『ザ・バットマン』は、スーパーマンに並ぶアメリカ最古参のヒーローの一人であるバットマンの新たな…

アレンジの巧さが光る:映画『ヒルコ/妖怪ハンター』

本作は、諸星大二郎の人気作の一つで、稗田礼次郎を狂言回しにした連作シリーズ、妖怪ハンターの「黒い探究者」「赤い唇」を下敷きにした映画化作品だ。 主演は沢田研二。監督はサイバーパンクで暴力と愛を世界にたたきつけた『鉄男』の塚本晋也。この映画は…

夏に観たかった娯楽大作:映画『ゴーストバスターズ/アフターライフ』

Introdaction 60年代後半から70年代前半のアメリカンニューシネマの時代が終わり、『ロッキー』をはじめ、『ジョーズ』、そして『スターウォーズ』、といった新しい才能たちが作り上げる新しい大衆娯楽映画の狼煙が上がる。そして、80年代にその「娯楽」は爆…

ゾンビの夜明け前:映画『ホラー・エクスプレス ゾンビ特急“地獄”行』

ゾンビ特急"地獄"行き(字幕版) クリストファー・リー Amazon Impression 今年のクリスマス、皆さんいかがお過ごしだろうか。私はいつもの通り一人でホラー映画を観ていた。定期的におかしくなる鼻のせいで(多分蓄膿)何を食べても異様なにおいがダイレク…

マイケルさん

ハロウィンの夜に観に行きました。『ハロウィン Kills』、自分を含めて五人くらい観てたかな。 ジョンカー・ペンターによる傑作から早40年余り。シリーズも今作で12作にのぼり、かなり息の長いシリーズとなっているわけですが、2018年にデヴィッド・ゴードン…

シリーズの終り方:『007 no time to die』

ダニエル・クレイグによる007の最終作。シリーズの終わりは、第一作のカジノロワイヤルから続いた物語、そしてヒーローとしてのジェームズ・ボンドに決着を見せた作品となっていました。なかなか良かったですね。 ※ネタバレ前提で語っていきますので、そのつ…

円弧の閉じる一瞬が永遠となる:映画『Arc アーク』

Impression ケンリュウの短編「円弧」の映画化ということですが、読んだことあるはずなのに全く忘れていました。なので、かなり新鮮に楽しめたと思う。すごくいい映画でした。久しぶりに実写の邦画を観たし、ここまでいい映画を観たのも久しぶりな気がしまし…

映画『フェラーリの鷹』

Impression 映画の感想も滞っているというか、最近あんまり映画観なくなったんですよね……。映画館の時短営業で、映画館にもあんま足が向かなくなっちゃったし。DVDも借りては観ないで返すのを繰り返すありさま……。 そんな中で、だいぶ前に見た観た一本。1977…

透明な人間たち:映画『透明人間』

久しぶりに映画館に行ってきた。『透明人間』といえば、ウェルズ……というよりバーホーベンの『インビジブル』が強烈に刻まれている自分。なので透明人間と言えば古典的な、包帯をとっていくと何もない! というヴィジュアル以上に、フリチン男(ケヴィン・ベ…

そのわけは天の上に:映画『明日、君がいない』

ツイッターの相互フォロワーである青さん@8823_blue が、御自身のブログ『偽物の映画館』で紹介されていた映画に興味を持ち、観てみました。 映画のタイトルは『明日、きみがいない』(原題は『2:37』)。監督は ムラーリ・K・タルリ。 青さんの紹介記事はこ…

悪魔のドールハウス&箱庭:映画『ヘレディタリー/継承』&『ミッドサマー』

※軽くネタバレとか踏んでいると思うので、そのつもりで読んでください。 悪魔がドールハウスや箱庭を作っている。そこには一見、影や悪意の気配はしない。だが、普通とはどこか違う匂いが少しする。悪魔はそこに心が傾きそうな人形を入れ、その心を針でつつ…

消えないニオイ:映画『パラサイト 半地下の家族』

『パラサイト 半地下の家族』を観てきたので、とりあえずその感想を。ちょっと内容に触れたりするので、観てない人は観てから読んでください。あらすじは略。 なんていうか、キツイ映画だった。別に面白くないというわけではない。映画としてはとても面白い…

素晴らしい実写化:映画『夏、19歳の肖像』

島田荘司の映像化は、本邦でも近年になって多数作られているのだが、台湾で制作されたこの『夏、19歳の肖像』がたぶん一番いい出来だろう。原作を基本としながら、現代の話としてスマートフォンを有効活用し、サスペンス性やミステリ性を底上げして、原作の…

彼らが“ぼくら”になる7日間:映画『ぼくらの7日間戦争』

宗田理の『ぼくらの七日間戦争』といえば、ジュブナイルの金字塔で自分も小学生高学年から中学生の時にこの作品に触れ、シリーズを結構読んだ覚えがある。『ぼくらの魔女戦記』の一巻の最後あたりがたぶん一番好きだ。 このシリーズとズッコケシリーズやかぎ…

あの夏、終わってしまった何かに:映画『Summer of 84』

閑静な郊外。そこには見知った穏やかな人々がいる――そういうことになっている。 しかし、誰もその心の裡を知りはしない。お互いが本心を見せたりはしない中、ふと疑いを抱くとき、そこを覗くことは何を招くのか。 この映画は、80年代のノスタルジックな、し…

狂気が見た白昼夢:映画『まぼろしの市街戦』

まぼろしの市街戦≪4Kデジタル修復版≫ [Blu-ray] 出版社/メーカー: キングレコード 発売日: 2019/08/07 メディア: Blu-ray この商品を含むブログを見る 名前は聞いていたけど、観たことがなかった映画。今回、デジタル修復版が出て、気軽にに観れるようになっ…

ライミ印の笑えるホラー:映画『スペル』

サム・ライミ作品。『死霊のはらわた』を観れば分かるが、彼のホラーはきちんとしたホラー演出で驚きつつも観てるうちになんだかドツキ漫才というか、スプラスティックコメディめいた展開になっていき、ついには恐怖よりも笑いが先に来るようになるのだ。 こ…

レオーネという西部劇の思いで。

マカロニ・ウエスタン、結構好きなんですよ。まあ、どのジャンルに対しても言えるんですが、マニア的な取り組みで臨んでいるわけではないので、半可通ではあるんですが、大学生のころに結構ハマって、観てたことがありました。 最初に観たのは、あの三大レオ…