蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

小説

島田荘司『セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴』

セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴: 名探偵 御手洗潔 (新潮文庫nex) なんとなく再読してみようと手に取って、なんだかあっという間に読んでしまいました。御手洗シリーズといえばの強烈で奇天烈な謎、というものではありませんが、奇妙な発端から、次…

十階堂一系『赤村崎葵子の分析はデタラメ』

赤村崎葵子の分析はデタラメ (電撃文庫) 作者: 十階堂一系 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2015/02/07 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 日常ミステリで多重解決ものとして挙げられていたのを目にして、手に取ってみました。これはかなり…

島田荘司を読んだ昔、そして今。

今回は自分にとっての島田荘司ということについて語っていきたいというか、書き留めておきたい。というわけで好き勝手語っていきますよ。 島田荘司という巨大過ぎる作家の作品を私が読み始めたのは、新本格ミステリ、中でも二階堂黎人や有栖川有栖、法月綸太…

「論理」の吊り橋が架からぬ場所へ:T・Sストリブリング『カリブ諸島の手がかり』

われわれが理性と称しているものは、ふつう思われているように絶対確かできっかりとした働き方をするもんじゃないんです。理性が働くところを調べてみたら、それが実にあいまいで、いくつかの仮説のなかからあてずっぽうに解答に飛びつくようなものだとわか…

闇を払うは滅びの剣:麻生俊平『ザンヤルマの剣士』

今回は私の好きなライトノベルを紹介しようかな、と。まあ、ぶっちゃけ本読めないし、それっぽい感想というか、妄想もまとまらないので……。後々それぞれの巻ずつの解説というか感想を書いていきたい思ってはいますが、まずはざっくりした印象解説をとりあえ…

真っ白な牢獄:倉野憲比古『スノウブラインド』

ドイツ現代史の権威、ホーエンハイム教授。その邸宅は蝙蝠館と呼ばれ、軽井沢近郊の狗神窪と呼ばれる小さな窪地に佇んでいた。そこはかつて住人が野獣と化したという奇妙な伝説が残る土地。12月、そこへ毎年の恒例として招待される教授のゼミ生たち。携帯の…

うつし世VS夜の夢:江戸川乱歩『大暗室』

大暗室 作者: 江戸川乱歩 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2012/10/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 『大暗室』。乱歩の通俗長編の中ではタイトルからして比較的地味な印象で、特に語られることのない作品のように思える。筋立てもい…

「私」を拡散するために 江戸川乱歩『盲獣』

※ 一応、ネタバレというやつなので注意してください。とはいえ、そんなことでどうこうなる作品だとは思いませんが。 盲獣 (創元推理文庫) 作者: 江戸川乱歩 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2012/10/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る …

幻想が溶けた後に残るモノ 戸川昌子『緋の堕胎』

緋の堕胎 (ちくま文庫) 作者: 戸川昌子,日下三蔵 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2018/10/11 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 戸川昌子という作家についていえば、歴代一の激戦と言われた第八回の江戸川乱歩賞において、あの『虚無への供物』…

何のために表現するのか パスカル・キニャール『世界のすべての朝は』

世界のすべての朝は (伽鹿舎QUINOAZ) 作者: パスカル・キニャール,手嶋勇気,高橋啓 出版社/メーカー: 伽鹿舎 発売日: 2017/03/23 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る というわけで初キニャール。伽鹿舎の文庫で、帯文の伊藤計劃がどうたらという所に…

消失、そして越境 ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』

吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫) 作者: ブラムストーカー,Bram Stoker,平井呈一 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 1971/04/18 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 162回 この商品を含むブログ (61件) を見る ついにこの古典中の古典を読む。いや、さす…

幻想にしてSF プリーモ・レーヴィ『天使の蝶』

天使の蝶 (光文社古典新訳文庫) 作者: プリーモレーヴィ,Primo Levi,関口英子 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2008/09/09 メディア: 文庫 購入: 11人 クリック: 74回 この商品を含むブログ (37件) を見る プリーモ・レーヴィの『天使の蝶』はどこか独特の…

煙草と霧と放射能:島田荘司『ゴーグル男の怪』

ゴーグル男の怪 (新潮文庫) 作者: 島田荘司 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/02/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る とりあえず結論から言うと『ゴーグル男の怪』は幻想小説の傑作である。著者だから書き得た異形の幻想ミステリとい…

やみをみるめ

先日、復刊していた『八本脚の蝶』を手に入れることができ、少しづつ読んでいる。これは本で読みたかった。本になって、その遺された言葉たちをカタチとして手に触れる、その手触りを愛おしみながらページをめくる。 彼女は自分とはあまりにも違う人だ。その…

鬼が夢見る帝国:孤島の鬼

『孤島の鬼』を久々に再読したんですが、やっぱ面白いですね。次々と移り変わっていくストーリーは、後ろを振り返らない、その場その場の展開の連続という感じなんですが、それがあれよあれよと、とんでもないところへ主人公が流されていく感じとうまくリン…