蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

生真面目でヘンな映画:映画『ヴィジット』

なんていうか、映画秘宝界隈でのシャマランへのアツい掌返し、というそーとー胡散臭い光景をしばしば目にする今日この頃。というわけでそういえばそんな監督いたな、という気分で久しぶりに手に取ったのです、M・ナイト・シャマラン監督作品というやつを。ま…

その瞬間、あなたはそこにいる:映画『ファースト・マン』

『ボヘミアンラプソディー』の感想を書いたときに、体験する装置としての映画がこれから増えていくだろうということを書いたが、この映画もまた、観る者にその過去の瞬間を体験させる映画である。「ボヘミアン」以上に徹底した体験追及型で、物語性や人物か…

アニメ・ウマ娘における“ライブ”の役割

BNWの誓いの記事に、ウマ娘のライブについて、視聴者は特にそれを期待していないと書いたが、アニメ・ウマ娘においてライブという要素は、本編の大筋とは別の形で重要な役割があると私は思っていて、今回はそのことについて書く。 アニメ・ウマ娘にはレース…

恐怖のチキン:映画『キラー・スナイパー』

Killer Joe メディア: DVD この商品を含むブログを見る というわけで、またもやフリードキン映画である。2011年公開の最新作で、ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞にノミネートされたりした、久々に脚光があたったフリードキン映画である。内容は……いつもの…

『ラ・ラ・ランド』の、町山さんの解説を観てて、後半の質問で、質問者が町山さんに、芸術、好きなものを追求するためには恋愛とか、家族的な幸せみたいなものは邪魔だ、とかみたいな、表現したりする場合は何か自分の中に欠落みたいなものを抱えていないと…

帰ってこれなくなった男:映画『ハンテッド』

ハンテッド [DVD] 出版社/メーカー: 日本ヘラルド映画(PCH) 発売日: 2005/07/06 メディア: DVD クリック: 22回 この商品を含むブログ (15件) を見る 恐怖の報酬に感動したということもあり、今回もフリードキンの映画である。この映画は観てなかったので、ち…

感想書くのメンドいな……というか、あんまりうまい具合に固まってくれないので、またも自分語りというか、そう、困ったときの自分語りです。 というわけで今回は、自分がなぜ本格探偵小説を、というかミステリを読むのか、ということについてひとくさり語って…

ケムリクサの感想も一応かいとこう。 1,2話でだいたい以前Webで公開してた自主製作版のリメイクを終えて、3話でいよいよエンジンかかってきたというところ。というか、やはり背景美術がいいですね。けものフレンズと違って、話ごとに環境がガラッと変わ…

生きながら死んでいる男たちの:ウィリアム・フリードキン『恐怖の報酬:オリジナル完全版』

映画ファンの中では伝説ともいえるウィリアム・フリードキンによる『恐怖の報酬』。そのオリジナル完全版を観てきました。ネタバレ前提的に語るので、まあそのつもりでお願いしますです。 『恐怖の報酬』――もともとは1953年製作のアンリ⁼ジョルジュ・クルー…

一応けものフレンズ2を観ました。 ……これ、どこを狙ってるんだろう。低年齢層を狙っているんだろうか。それにしては動物感はキャラクターから減じているような。 いや、なんていうかですね、個人的にけものフレンズの面白さって、CGモデルの動きにあったと…

言葉でどこまでもつながってゆける 笹井宏之『えーえんとくちから』

詩や短歌、それは僕にとって何とも言えないジャンルだ。一応、学校の教科書のものを目にしたことはあるわけで、「君死にたもうことなかれ」とか、「白鳥は悲しからずや」とか、なんかそんな感じのが記憶にある。古文の万葉集とか、古今和歌集とかその辺は全…

「体験」を再現する装置としての映画 『ボヘミアン・ラプソディ』

というわけで、新年初の映画はこれでした。おまけに恐らく人生初のIMAXで観た。ぶっちゃけ、同行者との時間の都合でIMAX字幕しかなく、えー、高い、みたいな感じで劇場に乗り込んでいったのですが、いや、観てよかったです。というか、これはIMAXで観るべき…

小学生の時だ。友人と合作で漫画を描き始めた時期がある。私としては本来小説を合作するつもりで誘ったのだが、うまく伝わらなかったのか、友人は勘違いしたか漫画を描こうぜ、ということになった。ノートというか、白い横長の雑記帳に何列かの線を引いたコ…

「高天原の犯罪」の構造 天城一『密室犯罪学教程』

探偵小説は読者に参加の夢を与えると称しながら、実際は読者を操作するにすぎませんでした。 『密室犯罪学教程』献辞より ※「高天原の犯罪」そしてチェスタトンの某作(ブラウン神父の童心収録作)に触れています。いずれもネタを割る、又は真相を示唆する部…

文章を書く、ということについて、みんなどんな風に書いてるんだろう。とにかく書くのが楽しくて、それだけでたーのしー、というタイプもいるんだろうけど、自分はあんまりそういう感じではない。一気に書くというよりはぶつぶつ書いてはやめ、うーんと唸り…

ウマ娘プリティーダービー 『BNWの誓い』感想

三周ほどしましたし、BNWの誓い――ウマ箱四巻に収録されているOVA新作三話についての感想を。筋に沿って語るため、ネタバレ前提なのでそのつもりで。まあでも、映像的な情報や楽しみが盛りだくさんなので、話の筋を知ってもその面白さは変わらないと思います…

「百合」って言葉、別に好きでも嫌いでもないんだけど、それを気嫌いする気分というのはまあ、分からないでもないというか。 なんだろう、人物の関係って、その人物たちごとにあって、そこにはある意味、名づけようのない関係性がそれぞれあるわけで、一様で…

映画『遊星よりの物体X』感想

『遊星よりの物体X』、である。カーペンターの『遊星からの物体X』ではなく。 今となってはカーペンターのリメイク元として有名という感じの51年作品、そして製作(演出の大部分も担当したとされる)はあのハワード・ホークス。 ていうか、ハワード・ホーク…

彼方より来たもの

もう十五日で、十二月十日、もとい今年の黒鳥忌をだいぶ過ぎてしまったわけだが、まあいいや、僕はそんなことは気にしないぜ。とりあえず、自分にとって中井英夫、というか『虚無への供物』がどんな存在なのか、ということを書きたくなったので書こうかなと…

ちょっと『ジャナ研の憂鬱な事件簿』などの青春ミステリを読んでダイイングメッセージについて、少し思ったことなど。 ダイイングメッセージというと、かつて密室などと並んで探偵小説といえば、というガジェットであったにもかかわらず、今現在「本格」方面…

「私」を拡散するために 江戸川乱歩『盲獣』

※ 一応、ネタバレというやつなので注意してください。とはいえ、そんなことでどうこうなる作品だとは思いませんが。 盲獣 (創元推理文庫) 作者: 江戸川乱歩 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2012/10/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る …

なんか久々に映画館に行ってきて『来る』を観てきた。原作は読んでいない。 感想としては、後半からの奇妙な展開というか、そのどこかコミック的ともいえるテイストが評価の分かれ目かもしれない、という感じ。 前半はかなりソリッドなホラーだ。巻き込まれ…

一応、アニメのGODZILLAの感想も書いとくか。DVDで『怪獣惑星』と『メカゴジラ・シティ』を観たんですが、まあ、事前に批判意見いっぱい見たのでそれほどでもないんじゃないの、みたいな感じでしょうか。うーん、でも私としては、全然OKというか、54年の『ゴ…

夢の続き 大樹連司『GODZILLA 怪獣黙示録』『GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ』感想

GODZILLA 怪獣黙示録 (角川文庫) 作者: 大樹連司(ニトロプラス),虚淵玄(ニトロプラス) 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/10/25 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (7件) を見る GODZILLA プロジェクト・メカゴジラ (角川文庫) 作者: 大樹連司(ニト…

模倣するけもの:『けもーたりぜーしょん』

同人――同じ趣味を持つ人の集まり、というのはかつての辞書的な意味であり、現在における同人の大雑把なつかみ(というか、あまり知らない人間が大雑把にイメージするもの)としては、好きな作品のキャラクターをもちいて自分なりにその作品世界を模倣してみ…

しかし、なっかなか定期的に更新できませんね……twitterのツイを引き延ばせば割とブログの文章も楽なんじゃないかと思いついたときは気をよくしたんですが、全然です。まあ一応コアにして深堀するのにはいいかな、という感じでしょうか。長い文章書くことでつ…

死を見つめる 施川ユウキ『銀河の死なない子供たちへ』感想

※ネタバレで語っていくのでそのつもりで。 銀河の死なない子供たちへ(上) (電撃コミックスNEXT) 作者: 施川ユウキ 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス 発売日: 2017/09/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (2件) を見る 銀…

生真面目な幽霊譚の快作 映画『ザ・フォッグ』

ザ・フォッグ [Blu-ray] 出版社/メーカー: キングレコード 発売日: 2018/08/08 メディア: Blu-ray この商品を含むブログを見る 未視聴のジョン・カーペンター監督作で、残るは『ヴァンパイア最後の聖戦』とこれだったわけなんですが、積んでたDVDをついに観…

島田荘司『Classical Fantasy Within 第八話 ハロゥウイン・ダンサー』

Classical Fantasy Within 第八話 ハロゥウイン・ダンサー (講談社BOX) 作者: 島田荘司,士郎正宗 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2010/05/07 メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 8回 この商品を含むブログ (3件) を見る 島田荘司による(現時点で…

ルーシャス・シェパード『竜のグリオールに絵を描いた男』

竜のグリオールに絵を描いた男 (竹書房文庫) 作者: ルーシャス・シェパード,内田昌之 出版社/メーカー: 竹書房 発売日: 2018/08/30 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 全長一マイルにも及ぶ巨大な竜グリオール。かつて魔術師によってその動…