蒼ざめた犬

齧ったフィクション(物語)の記録。……恐らくは。

伊藤計劃のサイト、「スプークテール」を今さら見てきたんだけど、自己紹介をクリックした先にある「モノローグ」や、掲示板に伊藤さんが書いている、エロゲーあるいは「萌え文化」に対する批判が結構激烈で(とはいえ、内容はなかなか面白い)、これを書い…

「腑に落ちる」という評価は確かにミステリにとって肯定的な評価ではある。というか、ミステリに限らず小説は読者を説得しなくてはならない(埴谷雄高も言ってた!)ことは確かだ。そう努力することは何ら間違いではない。 しかし、「腑に落ちた」から素晴ら…

次回は戦争か? 映画『ザ・プレデター』

※一応、『ザ・プレデター』のネタバレしてるんで、観てから読むことをおススメします。 地球にやってくる宇宙人には大雑把に分けて二種類がいる。ヒョロガリとマッチョである。そして大抵はヒョロガリ――いわゆるグレイ型やタコ型宇宙人という連中である。そ…

何のために表現するのか パスカル・キニャール『世界のすべての朝は』

世界のすべての朝は (伽鹿舎QUINOAZ) 作者: パスカル・キニャール,手嶋勇気,高橋啓 出版社/メーカー: 伽鹿舎 発売日: 2017/03/23 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る というわけで初キニャール。伽鹿舎の文庫で、帯文の伊藤計劃がどうたらという所に…

消失、そして越境 ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』

吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫) 作者: ブラムストーカー,Bram Stoker,平井呈一 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 1971/04/18 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 162回 この商品を含むブログ (61件) を見る ついにこの古典中の古典を読む。いや、さす…

偶然の極北 島田荘司『屋上の道化たち』

※この文では『屋上の道化たち』のネタバレを含むので注意 屋上の道化たち 作者: 島田荘司 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/04/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (7件) を見る 『鳥居の密室』、いい作品だとは思うんだけど、これをもって島田…

クラシック、そしてポップ 映画『アトミック・ブロンド』

これはかなり好みのスパイ映画。伊藤計劃氏が観たらかなり喜んでたんじゃないか、そんな感じがする。 スパイ映画というと、大きく二つにテイストが分かれ、一つが007に代表される、派手なアクションや、ビックリメカの数々で展開される、ヒーロースパイもの…

『けものフレンズ2』の何にびっくりって、この短期間で火中というか、火だるま確実な栗を拾いに(拾わされに?)行く人間が現れたことですよ。どこのどなたが監督するのか分かりませんが、家族を人質に取られたんだろうか……なんて。PVは大荒れでぶっちぎり…

ゾンビ映画? いやミステリ映画だ! 映画『カメラを止めるな!』

まあ時間もたったし、ある程度ネタバレでいきますね。 ようやくあの話題の映画『カメラを止めるな』が我が地元で(地方の悲しみ)も公開され、行ってきましたよ。確かにこれはなるべくネタバレ回避で観に行った方がいいかもしれない。ただ、実のところこの映…

破壊する先に何があるのか 映画『スター・ウォーズ エピソード8:最後のジェダイ』

ようやく観ましたよスター・ウォーズエピソード8を。 まあ、もう時期も時期だしネタバレで語っていくんでそこはよろしくです。 公開後にその“破壊”を許容するかどうかの姿勢がこの映画の“前進”“革新”を受け容れる者とそうでない者、みたいな分断が広がって…

根無し草の怪物 映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』

黄色いМの文字――それだけで分かる店がある。 マクドナルド。 世界で初めてレストランを効率化し、30秒でハンバーガーを出すハンバーガーショップの代名詞。そしてフランチャイズ化することにより、アメリカはおろか、世界のあまねく地域でその黄金色のダブル…

少女☆歌劇レビュースタァライト、なるほど、これは何というか「語りがい」のありそうなアニメといいましょうか。そういえばこういうアニメあんま見なくなったなあ、という感じで観てました。ウテナは好きなので一~二話を結構楽しく観ました。少女が歌劇部で…

www.youtube.com この動画、いま結構出回ってて、中身の議論は発信者がSF寄りの人なのか、SFの問題として論じつつ、SFを創作する際の注意として「Experience is Sexy」と結論付けるわけなんだけど、どうもこの中身についてもうちょい精査するというか、SFや…

ジャック・リッチー『10ドルだって大金だ』を読み終える。時間がめっちゃかけちゃったので正直前半の記憶はほぼない……。そんなわけで、あまり良い読み方もしなかったし、また再読する必要があるかもしれないのだが、まあ、今のところ自分には合った感じはし…

またぞろ、甲子園の“物語”に一直線に熱中して、自己中心的に球児を消費し始めてるの、私が嫌いなニッポンジンって感じで、大変薄気味悪いです。オリンピックもまたこの調子でみんなでつつき合える“物語”を見つけたら一直線なんだろう。 あと、twitterの現実…

『エラリー・クイーンの冒険』を読む。これ、なにげにすごいというか、初刊行時の序文に、これまで省かれていた「いかれたお茶会の冒険」(キ印ぞろいのお茶の会の冒険)を加え、まさに60年ぶりの新訳決定版ともいえる完全版は、もはや本国でもそう気軽には…

これで終わりなのか、カーペンター? :『ザ・ウォード監禁病棟』

ジョン・カーペンターの(今のところの)最新作。 記憶を失い、農家に火をつけたところで逮捕された少女、クリステンが送られたのは精神病院の監禁病棟。そこには彼女と同じくらいの少女たちが入れられていて、退院するのを待っている。そんな病棟の日々の中…

僕は何らかの感想の文章を書くときに、なるべく「エモい」とか「尊い」「萌え」といった言葉を使わない様に意識してきたし、多分これからもそう意識していくと思う。別に使うことに目くじら立ててるわけじゃない。コミュニケーションの一環として、そういっ…

『ザ・ウォード 監禁病棟』を借りるつもりが『ザ・ウォード 感染病棟』を借りるというチョンボをかまし、また再びTSUTAYAを覗いてきたが、二本とも貸し出し中、あう。しかし、どこも『ヴァンパイア 最後の聖戦』がないんだよなあ。カーペンターコンプリート…

八木ナガハル『無限大の日々』

これはいいSF漫画。 平行進化、群知能、ダイソン球、軌道エレベーター、確率、といったSFゴコロをくすぐるテーマで語られるSF短編集。どれもが魅力的なアイデアに満ちていて、それを語りつくす、というよりはさらりと皿にのせて読者に供して、それぞれの咀嚼…

読書を追いかけて:『バーナード嬢曰く』

バーナード嬢曰く。 (4) (REXコミックス) 作者: 施川ユウキ 出版社/メーカー: 一迅社 発売日: 2018/07/27 メディア: コミック この商品を含むブログ (1件) を見る というわけで、早くもというか、ようやくというか、この読書にまつわる滑稽で愛すべき漫画も…

映画館行っちゃえば、目にしたくなくても目にしちゃったりするわけで、例の特報ってやつを見ちゃったりしたわけなんですよ。 ……だれかカントクにたつき監督のインタビュー見せた方がいいんじゃないの? カメラぐるぐるぶん回すのいいかげんダサいですよって…

T・Sストリブリングのポジオリ教授シリーズって、名探偵や論理についてのものすごい先駆的な作品だと思うし、自分の中でクイーンと並んで重要な位置を占めていて、まとまった文章を書いてみたいなあ、と思ってるんで、作品解説とかを含めてなんとか形にした…

家族であろうとすることができない場所で 『万引き家族』感想

観てきましたよ、『万引き家族』。是枝監督の作品は、これまでは『それでも僕はやってない』ぐらいしか観てなくて、今回でやっと二作目。そして今作も「それでも~」と同じように、すっきりとした終わりではなく、どこか遣り切れない。映画の終りが終わりで…

エロスとデスは兄弟 映画『イット・フォローズ』感想

デヴィッド・ロバート・ミッチェルというほとんど無名の映画監督と、キャスト、そして二百万ドルの低予算で作られたこの映画は、大した宣伝もなかったにもかかわらず興行収益二千万ドルをあげ、2014年のホラ―シーンの話題をさらった。 この映画は殺人鬼や悪…

みんな学校嫌いとか言う割には見事に“学校”的な世界観で生きてると思うんだよ。 少なくとも日本人にとって世界は巨大な精神病院じゃなく学校で、鉄格子の内外なんかじゃなくて校門の内外でしかないんじゃないの……という、まあ、そんな感じ。 久しぶりに中井…

幻想にしてSF プリーモ・レーヴィ『天使の蝶』

天使の蝶 (光文社古典新訳文庫) 作者: プリーモレーヴィ,Primo Levi,関口英子 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2008/09/09 メディア: 文庫 購入: 11人 クリック: 74回 この商品を含むブログ (37件) を見る プリーモ・レーヴィの『天使の蝶』はどこか独特の…

『地獄の黙示録』

結構前なんですけど、午前十時の映画祭で観てきましたよ。そしてこれが初めの『地獄の黙示録』だという。 なんかすごい……んだけど、同時に妙にチグハグ感というか、前半のノリノリなドンパチから次第に鬱っぽい閉塞感を経て、何だか妙に煮え切らない形で幕を…

走るだけでも十分面白いアニメ、その名は『ウマ娘 プリティーダービー』

『宇宙よりも遠い場所』『ゆるキャン△』という傑作も終わり、今現在、アニメは何を観てるかというと『ウマ娘 プリティーダービー』『メガロボクス』『ルパン三世Prt5』を観てます(『BEATLESS』も引き続き観てます)。 中でも特に個人的に来てるのが『ウマ娘…

『悪魔のいけにえ2』

同じ監督が同じ題材で続編を撮る。まあ、割とよくあるシチュだ。その場合、第一作の再演となるわけだが、それをどのように再演するのか。それが映画の形を決めるのかもしれない。 基本的に人気が出た作品の二作目は予算が増えるわけだし派手になる傾向がある…